認定事業

アニメノムサシノ

アニメ制作会社×まち

アニメの力で武蔵野の未来を耕す
――武蔵野商工会議所 安藤副会頭と「アニメノムサシノ」山浦実行委員長が描く、街とクリエイターの新しい関係

武蔵野市のアニメーション産業と地域活性化を繋ぐ挑戦プロジェクト「アニメノムサシノ(以下、アニムサ)」。武蔵野商工会議所 安藤副会頭と「アニムサ」山浦実行委員長に、プロジェクトの原点から2026年2月に開催される「第4回アニムサ祭」の見どころ、そして「コラボむさしの」を通じた事業者との連携まで、熱く語っていただきました。

  • 武蔵野商工会議所 安藤副会頭、「アニムサ」山浦実行委員長 インタビュー

    1. 〈PROFILE〉

      武蔵野商工会議所 安藤副会頭
      「アニメノムサシノ」山浦実行委員長

    まずはじめに、自己紹介をお願いします

    安藤さん)私は「アニムサ」の初代実行委員長を務めておりました、武蔵野商工会議所副会頭の安藤です。私たちは地元の商工業の発展を目的として、様々な取り組みを行っていまして、今回お話しする「アニメノムサシノ」の活動も、その一環として進めているプロジェクトです。

    山浦さん)昨年の10月に安藤副会頭の後任として実行委員長を引き継ぎました山浦です。武蔵野市にはたくさんのアニメ制作会社があり、魅力的な作品をたくさん制作しています。武蔵野市から生み出されたアニメというコンテンツを通して、来街者を増やし、地域の活性化につながる事業にしたいと考えております。

    「アニメノムサシノ」の企画のきっかけは何ですか?

    安藤さん)武蔵野市には多くの魅力がありますが、私は「どこのまちでも成立してしまうような企画は面白くない」と考えています。隣まちでもできることではなく、武蔵野市だからこそ成立する魅力は何か、そう考えた時に、やはりこのまちにたくさんあるアニメ制作会社が、そして、彼らも生活者として武蔵野市で生活しているというところが、この街の魅力のひとつなのではないかと気づきました。

    彼らは世界に誇るコンテンツを生み出していますが、実は地域との接点が意外なほど少ない。私は、行政や商店会、そしてアニメ制作会社の間を取り持ち、双方がハッピーになれる仕組みを作る「繋ぎ役」のような立ち位置で活動しています。

    実際に制作会社の方々に話を伺いに行くと、「地域と繋がりたいけれど、その場がなかった」と非常に歓迎されました。市長や市の職員の方々と直接会う機会を設け、話が進んでいきましたね。

    単にアニメを「宣伝の道具」として使うのではなく、「まちに住む作家や、そのまちを舞台にした作品」を大切にする。それが市民の誇りに繋がると信じています。例えば、サンロード商店街で江口寿史先生や宮下あきら先生といった、地元に縁のある作家さんとコラボレーションを続けているのも、その信念があるからです。

    これまでの「アニムサ」の活動を振り返って、印象的なエピソードはありますか?

    安藤さん)これまでの3年間の歩みの中で、毎年異なる会社と連携してきました。初年度は、タツノコプロさんと連携をしました。2年目はJ.C.STAFFさん。担当いただいた松倉プロデューサーとは、私が以前一緒に働いていた頃からの長い縁もあり、非常にスムーズに協力体制が築けました。
    3年目は吉祥寺に拠点を持つスタジオディーン(IMAグループ)さん。『薄桜鬼』でコラボしました。この時、池田社長が「吉祥寺という街でクリエイターが働きやすい環境を作りたい」と強く希望され、オフィスを拡張し、街に定着してくださったのは大きな成果でした。

    毎年、様々なアニメ会社さんと協力されているんですね。コンテンツ選びで意識していることはありますか?


    安藤さん)当初から課題の一つとして、女性の方も多く来ていただきたいというのがありました。なぜなら、男性ファンが多く集まるイベントでは、彼らはそのイベントが終わるとすぐに帰宅してしまい、その地域周辺のお店にあまり立ち寄ってもらえないという課題がありました。

    一方、女性はイベントの前後や合間に街のカフェで食事を楽しんだり、お店で買い物をしたりしてくれます。アンケートでも「帰りに食事や買い物をする予定がある」という回答が多く、地域経済への波及効果が非常に高いことが分かっています。こうした「バランス感覚のいいファン」を味方につけることが、街の活性化には不可欠なのです。

    2月に開催される「第4回アニムサ祭」の内容について教えてください

    山浦さん)今回の目玉は、長年愛されている名作『機動警察パトレイバー』とのコラボです。新作の『機動警察パトレイバー EZY』の第1話を、武蔵野公会堂にて、どこよりも早く特別上映します。この作品は、武蔵境に本社があるJ.C.STAFFさんが制作を担当されており、当日は声優の上坂すみれさん(久我十和 役)、戸谷菊之介(天鳥桔平 役)、出渕裕監督、松倉友二プロデューサーの4名による豪華なトークライブも予定しています。

    地域を巻き込んだ企画も盛りだくさんだと伺っています


    山浦さん)はい。三鷹エリアでは2月21日(土)と22日(日)に書き下ろしのオリジナルステッカーを無料配布します。

    武蔵境エリアでは、2月16日(月)~22日(日)まで武蔵野プレイスにて『機動警察パトレイバー EZY』の制作資料展示を行います。最終日にはJ.C.STAFFの松倉友二プロデューサーのトークライブを開催します。

    今回、コラボむさしのに申請されたきっかけは?

    アニムサとしては今回が初めての申請です。アニメ会社やアニメの力を借りて、市内の商工業を発展させる、それが大きな目的です。

    活動を続けていく中で、様々な企業の話が耳に入ってきて、表層的なプロモーションで満足している場合じゃないなと思うようになりました。

    もっと深いレベルでの取り組みが必要だと。

    安藤さん)はい。行政の職員さんたちは、数年で部署異動等もあり、地元の細かな実態が見えにくい部分があります。一方で、私たち商人はこの街から逃げることも隠れることもできません。だからこそ、「現場を知る私たち」と「行政」が、より深いレベルで情報を共有し、補完し合う関係を築くべきです。

    他区のように駅前に大手企業や大学を誘致するダイナミックな街づくりを参考にしつつ、武蔵野市も現状に甘んじることなく、次世代の産業やクリエイターが「この街にいたい」と思える投資を続ける必要があります。アニムサの活動が、そうした行政の動きを活性化させる一つの呼び水になればと考えています。

    最後に、今後の展望について聞かせてください

    安藤さん)「アニムサ」の活動は、単なる一過性のイベントではありません。かつて『ろくでなしBLUES』を読んだ少年たちが「いつか吉祥寺に行ってみたい」と憧れたように、今私たちが蒔いている種が、数十年後の街の活力になると信じています。アニメという架空の物語が、リアルな街の風景と重なり、人々の記憶に残る。その「楽しかった記憶」こそが、将来の武蔵野市を支えるファンを作ります。

    まずは2月のイベントをみなさんに楽しんでもらえればと思っています。そして、この活動を通じて、行政も、商人も、市民も、みんながこの街のポテンシャルに改めて気づくきっかけになれば嬉しいですね。これからも「武蔵野らしさ」を追求しながら、進化し続けていきたいと思います。